Image Image

量子コンピューター産学結集、世界と闘える?

2024年2月27日の日本経済新聞朝刊1面に「富士通・日立など10社、量子計算機で新会社」という記事がありました。次世代の高速計算機、量子コンピューターの商用化に向けて国内の産学が2024年度に新会社を立ち上げます。米グーグルやIBMも開発を進める分野で、日本はどう闘うのでしょうか。

 

2030年度までの商用化目指す

量子コンピューターは物理学の理論「量子力学」を応用した計算機です。2019年にグーグルがスーパーコンピューターで解くと1万年かかる問題を約3分で解き、実用化へ期待が高まりました。日本で立ち上がる新会社には富士通や日立製作所、NECなど約10社が参画します。各社は新会社への出資などを通じて人材や技術面を支援。2030年度までの商用化を目指します。

 

独自技術で世界に先行

新会社では「冷却原子方式」と呼ばれる新方式でコンピューターを開発します。世界の主流は「超電導方式」でグーグルやIBMが開発を進めています。新方式は超電導方式に比べ、複雑な計算に対応するコンピューターの大規模化で有利とされています。日本は冷却原子方式で高速処理を可能にする独自技術を握っており、新会社の設立を機に開発を加速させます。

 

創薬・新素材開発などで恩恵

   膨大な情報を高速処理できる量子コンピューターを使えば、様々な場面で革新が起こると期待されます。効率的な物流ルートが見つかることで通販の商品到着が早くなったり、資産ポートフォリオの最適化提案により資産運用の手間が省けたりなどの恩恵が期待できます。新薬や新素材の開発期間短縮にもつながるため、企業はビジネスでの効果的な利用を探ります。